ファイバーコアとメタルコアの違いについて
こんにちは、トワデンタルクリニック人形町です。
歯の治療において、「コア」という言葉を耳にされたことはありますか?虫歯が進行して歯の神経を取った後や、歯が大きく欠けてしまった場合、被せ物(クラウン)を装着する前に、歯の土台となる「コア」を作製する必要があります。
この土台には主に「ファイバーコア」と「メタルコア」の2種類があり、それぞれに特徴があります。今回は、この2つのコアの違いについて詳しくご説明いたします。
コア(支台築造)とは?
まず、コアとは何かについて簡単にご説明します。
虫歯が進行して神経を取る治療(根管治療)を行うと、歯の内部が空洞になります。また、歯が大きく欠けた場合も、残っている歯質が少なくなってしまいます。このような状態では、そのまま被せ物を装着しても強度が不足し、長持ちしません。
そこで、歯の根の中に土台を立てて歯を補強し、その上に被せ物を装着します。この土台のことを「コア」または「支台築造」と呼びます。コアは歯科治療において非常に重要な役割を果たしており、被せ物の寿命や歯の予後を大きく左右します。
メタルコア(金属の土台)について
メタルコアの特徴
メタルコアは、その名の通り金属で作られた土台です。従来から広く使用されてきた方法で、現在でも保険診療で使用されることが多い材料です。
一般的には銀合金や金銀パラジウム合金などが使用され、非常に硬く、強度が高いという特徴があります。歯科技工所で精密に作製されるため、適合性も良好です。
メタルコアのメリット
1. 強度が高い 金属製のため、非常に硬く、強い力にも耐えることができます。奥歯など、特に強い咬合力がかかる部位でも十分な強度を発揮します。
2. 保険適用が可能 メタルコアは保険診療で作製できるため、治療費を抑えることができます。経済的な負担を軽減したい方にとっては大きなメリットとなります。
3. 長い実績がある 何十年にもわたって使用されてきた実績があり、その信頼性は確立されています。
メタルコアのデメリット
1. 歯根破折のリスク メタルコアの最大のデメリットは、歯が割れてしまうリスクが高いことです。金属は非常に硬く、しなやかさがないため、強い力がかかったときに力を吸収できず、歯根に負担が集中してしまいます。その結果、歯根が縦に割れてしまう「歯根破折」を引き起こす可能性があります。
歯根破折が起きてしまうと、多くの場合、その歯を残すことが難しくなり、抜歯が必要になります。
2. 審美性に劣る 金属は光を透過しないため、被せ物の透明感が失われ、歯が黒っぽく見えることがあります。特に、セラミックなどの審美的な被せ物を使用する場合、金属の色が透けて見えてしまい、自然な仕上がりになりません。
また、歯茎が下がってきた際に、金属が露出して黒いラインが見えてしまうこともあります。
3. 金属アレルギーのリスク 金属を使用するため、金属アレルギーをお持ちの方や、将来的に金属アレルギーを発症するリスクがあります。お口の中の金属が原因で、皮膚炎などの症状が出ることもあります。
4. MRI検査への影響 金属が入っていると、MRI検査を受ける際に画像が乱れることがあります。近年、健康診断などでMRI検査を受ける機会も増えているため、デメリットとなる可能性があります。
ファイバーコア(グラスファイバーの土台)について
ファイバーコアの特徴
ファイバーコアは、グラスファイバー(ガラス繊維)の芯にレジン(歯科用プラスチック)を組み合わせた土台です。近年、歯科治療において注目されている材料で、メタルコアの欠点を補う優れた特性を持っています。
白色または半透明の材料で、見た目も自然です。
ファイバーコアのメリット
1. 歯根破折のリスクが低い ファイバーコアの最大のメリットは、歯に近い弾性(しなやかさ)を持っていることです。天然の歯と近い硬さのため、強い力がかかったときに力を分散し、歯根への負担を軽減します。
そのため、メタルコアに比べて歯根破折のリスクが大幅に低くなります。大切な歯を長持ちさせることができるのです。
2. 審美性に優れている ファイバーコアは白色または半透明のため、光を透過します。そのため、セラミックなどの審美的な被せ物と組み合わせた場合、天然歯のような自然で美しい仕上がりになります。
前歯など、見た目が重要な部位の治療には特に適しています。また、歯茎が下がってきても金属が見えることがないため、長期的にも審美性を保つことができます。
3. 金属アレルギーの心配がない 金属を一切使用しないため、金属アレルギーの方でも安心して使用できます。また、将来的に金属アレルギーを発症するリスクもありません。
4. MRI検査への影響がない 金属を含まないため、MRI検査を受ける際にも画像への影響がありません。
5. 歯質への接着性が高い ファイバーコアは接着性のレジンを使用するため、歯質としっかりと接着します。メタルコアは基本的に「くさび効果」で保持されますが、ファイバーコアは接着によっても保持されるため、より安定した土台となります。
6. 再治療が容易 万が一、再治療が必要になった場合、ファイバーコアは除去が比較的容易です。メタルコアは非常に硬く、除去する際に歯質を多く削らなければならないことがありますが、ファイバーコアはそのようなリスクが低くなります。
ファイバーコアのデメリット
1. 保険適用外(自費診療) ファイバーコアは基本的に保険適用外となるため、メタルコアに比べて治療費が高くなります。ただし、一部の条件下では保険適用となる場合もありますので、歯科医院にご相談ください。
2. 残存歯質が少ない場合は適用が難しいことも 歯の残っている部分が極端に少ない場合や、歯根の状態によっては、ファイバーコアの適用が難しいケースもあります。その場合は、メタルコアや他の方法を選択する必要があります。
ファイバーコアとメタルコア、どちらを選ぶべき?
審美性を重視する場合
前歯や小臼歯など、見た目が気になる部位の治療では、ファイバーコアをおすすめします。特に、セラミッククラウンなどの審美的な被せ物を使用する場合は、ファイバーコアとの組み合わせで最高の結果が得られます。
歯を長持ちさせたい場合
歯根破折を防ぎ、歯を長期的に保存したい場合は、ファイバーコアが適しています。一度歯根破折を起こすと、ほとんどの場合抜歯が必要になってしまうため、予防的な意味でもファイバーコアの選択は有効です。
金属アレルギーがある場合
金属アレルギーをお持ちの方、または心配な方は、ファイバーコアを選択すべきです。お口の中の金属は、全身の健康にも影響を与える可能性があります。
経済的な負担を抑えたい場合
治療費を抑えたい場合は、保険適用のメタルコアも選択肢となります。ただし、長期的な視点で考えると、歯根破折のリスクや再治療の可能性も考慮に入れる必要があります。
当院での取り組み
トワデンタルクリニック人形町では、患者様一人ひとりのお口の状態やご希望に合わせて、最適な治療方法をご提案しています。
ファイバーコアとメタルコア、それぞれのメリット・デメリットを詳しくご説明し、患者様が納得して治療を受けていただけるよう心がけています。また、長期的な視点での歯の保存を重視し、できる限り歯根破折のリスクを低減する治療を推奨しています。
まとめ
ファイバーコアとメタルコアには、それぞれ特徴があります。
メタルコアは強度が高く、保険適用が可能ですが、歯根破折のリスクや審美性、金属アレルギーの問題があります。一方、ファイバーコアは歯根破折のリスクが低く、審美性に優れ、金属アレルギーの心配もありませんが、自費診療となります。
どちらが適しているかは、治療する歯の位置、残存歯質の量、患者様のご要望、予算など、様々な要素を総合的に判断して決定します。
歯の土台は、被せ物の寿命や歯の予後を大きく左右する重要な部分です。不明な点やご質問がございましたら、いつでもお気軽にトワデンタルクリニック人形町にご相談ください。患者様にとって最良の選択ができるよう、スタッフ一同サポートさせていただきます。
トワデンタルクリニック人形町 皆様のお口の健康をサポートいたします。 ご予約・ご相談はお気軽にお問い合わせください。

