差し歯が取れました。アロンアルファでくっつけてもよいですか?
差し歯が取れてしまうと、多くの方が「どうしよう」と焦ってしまうものです。一部の方は、手元にあるアロンアルファ(瞬間接着剤)を使って、差し歯を元に戻そうと考えるかもしれません。しかし、これは絶対に避けるべき行為です。この記事では、差し歯が取れたときの適切な対応方法と、なぜアロンアルファを使用してはいけないのかを、専門的な視点を交えてわかりやすく解説します。
差し歯が取れる原因
差し歯が取れる主な原因として、以下のような要因が考えられます。
- 接着剤の劣化
差し歯は専用の歯科用接着剤で固定されていますが、長年の使用や咬合(かみ合わせ)の圧力により、接着力が弱まることがあります。 - 虫歯の発生
差し歯を支える土台(支台歯)や歯根に虫歯ができると、差し歯がしっかりと固定できなくなり、取れる原因となります。 - 咬合力の変化
はぎしりや食いしばりといった咬合力の変化により、差し歯に負担がかかり、取れる場合があります。 - 土台の破損
根管治療後の支台が破損すると、差し歯の固定が困難になり、取れる可能性があります。
アロンアルファで
接着してはいけない理由
1.化学物質による口腔内への悪影響
アロンアルファは、一般的な接着用途に使用される瞬間接着剤で、シアノアクリレート系の化学物質が含まれています。この成分は口腔内の組織に適しておらず、炎症やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。また、歯や歯茎を傷つけるリスクもあります。
2.適合性の欠如
歯科用接着剤は、生体親和性が高く、歯や差し歯にしっかり適合するよう設計されています。一方で、アロンアルファはこうした要件を満たしておらず、適切な接着が行えません。これにより、咬合が不安定になり、かえって差し歯や歯根を傷める可能性があります。
3.治療の妨げ
アロンアルファで接着した場合、接着剤の除去が非常に困難です。歯科医院で本来の治療を行う際に余計な時間がかかるだけでなく、場合によっては歯や差し歯そのものを損傷してしまうこともあります。
差し歯が取れたときの
正しい対処法
1.差し歯を清潔に保管する
取れた差し歯は捨てずに、できるだけ清潔な状態で保管してください。乾燥を防ぐために湿らせたガーゼやティッシュに包み、歯科医院に持参するのが理想的です。
2.歯科医を速やかに受診する
差し歯が取れたまま放置すると、支台歯や歯根が虫歯や炎症を起こすリスクがあります。できるだけ早く歯科医院で診察を受け、適切な治療を受けましょう。
3.応急処置としての保護
支台歯がむき出しの状態で痛みや不快感がある場合は、市販の歯科用応急接着剤を使用することも検討できます。ただし、これはあくまで一時的な対策であり、速やかに歯科医院での診察を受ける必要があります。
歯科医院での治療の流れ
歯科医院では、取れた差し歯の状態や原因に応じて以下のような治療が行われます。
- 差し歯と支台歯の検査
差し歯が再利用可能か、支台歯が虫歯や破損していないかを確認します。 - 支台歯の修復
支台歯に問題がある場合は、虫歯治療や再形成を行います。必要に応じて、ファイバーポストなどの補強材を使用して土台を再構築します。 - 差し歯の再接着または新しい差し歯の作製
差し歯が再利用可能な場合は、歯科用接着剤を使用して再接着します。再利用が難しい場合は、新しい差し歯を作製することになります。
差し歯が取れないように
するための予防策
- 定期的な歯科検診
差し歯の状態や接着剤の劣化を定期的にチェックすることで、早期の対処が可能になります。 - 正しいブラッシング
差し歯周囲の歯茎や支台歯を清潔に保つことは、虫歯や炎症の予防につながります。 - 咬み合わせの調整
はぎしりや食いしばりがある場合、マウスピースなどの装置を使用して咬合力をコントロールすることが大切です。
まとめ
差し歯が取れたとき、アロンアルファで接着するのは絶対に避けてください。化学的リスクや治療への影響が大きく、かえって問題を悪化させる可能性があります。差し歯が取れた際には、速やかに歯科医院を受診し、専門的な治療を受けることが最善の対応策です。
人形町の歯医者のトワデンタルクリニック人形町では、差し歯の再接着や新しい補綴物(ほてつぶつ)の作製をはじめ、咬合の調整や虫歯治療などを総合的に行っています。差し歯に関するお悩みがある方は、ぜひご相談ください。

